誤解していてごめんなさい!超激戦区な世界のレースゲーム市場に名乗りを上げた『ACR DRIFT』はCROOZの覚悟が詰まった自社開発ゲームだった!
皆さんはスマホのレースゲームと聞いて何を思い浮かべるだろうか。
実在のスーパーカーを忠実に再現した車体に、実写と見違うようなコース、そして車体に映り込む景色。
おそらく多くの人がEAのNeed for speedや、ゲームロフトのアスファルトを思い浮かべると思います。
実はレースゲームは欧米では最も人気が高いゲームのひとつ。Need for speedとアスファルトはそれぞれEAとゲームロフトの中核タイトルになっているほど。
一方で開発のハードルは高く、リッジレーサーやグランツーリスモの移植を除いては、日本のデベロッパーがリアルなレースゲームに挑戦することは無いだろうと思っていました。
ところが!
CROOZがやってくれました!
その名も『ACR DRIFT』!
この車体!このコース!この映り込み!
まさにリアルレーシング!
しかも、指一本で操作できる手軽さも両立させるという離れ業。
前方に見える白いラインの真上に来たら、曲がる方向に向かって画面をフリック!
豪快なスキール音と共にドリフトでカーブをクリアしていきます。
すっかり感動してしまったので、この感動を伝えようと早速CROOZに連絡。
快くインタビューを受け入れてくれましたよ!
お話を聞くのはこの方!
『ACR DRIFT』 ゼネラルマネージャーの蛭田健司氏!
『ACR DRIFT』 ゼネラルマネージャーの蛭田健司氏
ネイティブ開発も、世界展開も、レースゲーム開発もはじめて
―さっそくなんですが、なぜ「レースゲーム」だったのでしょうか?
蛭田健司氏(以下蛭田):弊社がネイティブに挑戦するときに「世界を意識」というのがスタート地点だったんです。
そして、世界中で売れているゲームの中でも幅広く人気なのはレースゲームだったんですね。
もちろんレースゲームは欧米のデベロッパーを中心に沢山ヒットゲームを出していて、大きなシェアをもっている状態でしたし、我々としてはレースゲーム開発もはじめてであれば、ネイティブ開発もはじめてで、さらに世界に出て行くのもはじめてという状況でした。
そんな状態の我々が参入して本当に勝てるのかと、そこがやはり大きなためらいではありましたね。
世界一を目指しているのであれば世界一の苦労をしてでも
蛭田:考え方として『ACR DRIFT』のような大きな開発をするのでは無くて、例えばもっと小規模なカジュアルゲームから開発してニッチな市場から順番にとっていくという戦略も当然あったと思うんですよね。
ただ、我々が世界に出て行って何を目指しているかというと、やっぱり「世界一」なんです。
クルーズ初のネイティブアプリ開発として、ニッチなゲームを出していくやり方で果たしていいのかというところで、世界一を目指しているのであれば世界一の苦労をしてでも世界中のお客様に楽しんでいただけるものをつくろうじゃないかと、真っ向勝負を挑んだんです。
あえて競合の激しい、しかもシェアも取られているレースゲームに挑戦したというところにCROOZとしての本気度を感じてもらいたいなと思っています。
1年前のスタート時にはチームは自分一人だけ
―いつ頃からレースゲームで行こうとなって動いていたんですか?
蛭田:企画原案を立てていたのは1年ちょっと前からですね。
まず原案を固めて、その次に実車を使用したいという思いがあったので車メーカーのライセンスを保持している会社との交渉をはじめました。
それがだいたい1年前です。
最初は私一人だけだったのでライセンス交渉のプレゼン資料を作っていましたね。
パワーポイントでチクチクと。
取りまとめてサブライセンシングしてもらえる会社がいくつかあって、最終的に決まったのがEUTECHNYXさんという会社なんです。
ゲームの起動時にはCROOZのロゴの後、EUTECHNYXのロゴも表示される。
なんと、開発はすべて自社で!
―となると開発はすべて自社で?
蛭田:アドバイスという形ではEUTECHNYXさんに頂いたことはあるんですが、開発は完全に我々で行いました。
パブリッシングも我々で、ライセンスのとりまとめはEUTECHNYXさんという関係になっていますね。
現在実装されている車体のメーカー
現在15メーカーの車が実装されている。
―そうなんですね!てっきり共同開発だったのかと思っていました。 これほどのゲームをよく作られましたね。
蛭田:本当にそこが大変でしたね。
ネイティブやコンシューマのゲーム開発の経験者がいたらよかったんですが、それもまったくいなくって。
だからスタートは開発経験者を採用するところからですよね(笑)
経験者を採用して、教育も行いながら開発を進めていくというところで本当に苦労がありました。
元々私はプログラマーなんですよ。
最初に入った会社がセガで、サクラ大戦のシリーズなどを作っておりまして、そのあとコーエーテクモで真・三國無双というシリーズを作ったんですね。
その経験が大きく生きたといいましょうか、皆作り方がわからなかったので私自身がプログラムを書いてテストバージョンを作ってみせて、勉強してもらうようなことをしたり。
もちろんCGやサウンド面では外部の会社さんにもご協力いただいた部分はありますがそれ以外はすべて自社ですね。
他社さんからも「おめでとう!でも作ったのEUTECHNYXって会社なんでしょ?」って言われて「いやいやいや!」って(笑)
世界を意識したらこの操作方法になった
タイミングが完全にあえば「PERFECT」。以下順番に「EXCELLENT」「GOOD」と続く。タイミングが速かったのか遅かったのかも表示されるのですぐに慣れることができた。
―非常にシンプルな操作になっています。
蛭田:世界を意識したがゆえにカジュアルな人でも遊べるようになっています。
というのも、私が以前仕事でカナダに5年ほどいたんですね。
カナダって移民の国なので世界中から人が集まっているんです。
そこで、社会全体がすごくシンプルだなって感じたんです。
日本にいただけだと気が付かなかったんですが、世界中から人が集まってくると店の看板ですとか交通のサインですとか、そういったものが難しいと伝わらないんですよね。
なので、どんどんシンプルになって「これなら世界中の人に伝わるでしょ」というものが残っている。
それがカナダという国だったんです。
そういった経験を踏まえて考えた時に、やはり操作は直感的ではないといけないだろうと。
そういうわけで、左に曲がりたければ左にフリック、右に曲がりたければ右にフリックという操作が出てきたんです。
オンライン対戦の独自技術は特許申請中
現在はシングルモードのみになっている。
―オンライン対戦はいつごろ実装されるのでしょうか?
蛭田:様々なアップデートに向けて人員を追加したり、検証したりしている段階なので、もうしばらくお待ちください。
地球の裏側でも時間のラグがないような技術を独自開発し、特許を申請しているオンライン対戦なので、楽しみにしていてください。
―内容としては世界中の人とリアルタイムでの対戦が出来るように?
蛭田:そうですね。あとは車の差がありすぎる相手と戦ってしまっても面白くないのでなるべくそういったところが近い、競り合える相手とマッチングできる仕組みで作っています。
ただ、それだけでは飽きてしまうので、オンラインモードはイベントとセットだと思っているんですね。
大会をやったりですとか、ランキングを競ったりですとか、チーム戦をやったりですとか。そういったイベントもオンラインモードのリリース後にどんどんリリースしていきます。
Android版も予定
―Android版はいかがでしょうか。
蛭田:皆様に楽しんでいただけるよう、チーム全員が最高速度を出して取り組んでいますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
オンラインがあり、Androidがあり、新しい車種の追加がありと、その都度山が来るのかなと思いますので、そういったタイミングでまたお話させていただく機会が持てればと思っています。
―ぜひ成長していってほしいですね。その際はまたよろしくおねがいします。本日はありがとうございました!
余談
冒頭のこの写真。
蛭田氏の後ろをヒョウが横切っているが、この写真を引きでみると…。
ひつじも。
さらに別カットでは、
うさぎと狼。
実はここ、CROOZ社内にある人口芝が敷かれたミーティングスペース。
奥の壁も柱もホワイトボードでした。
部屋の名前はアンデス。
ここにたどり着くまでには
アマゾンを分け入り、
シロクマの守るアラスカを抜け、
テキサスでトナカイの化け物みたいな奴の角をかいくぐり、
小舟でハワイを経由して
中国の上海にたどりつき、
シルクロードを通ってエジプトの神殿の前を過ぎ、
アフリカのサファリを経て
ようやく到着したんです。ひつじかわいい。
これ、全部社内ミーティングのスペースなんですって。
「○○さんどこにいる~?」
「今テキサスだって~。私ちょっとアフリカ行ってくるね~」
「りょうかーい。ごはんは上海にしよっか♪」
みたいな会話がくりひろげられるんだろうか…!
ちなみに、めざましテレビでもとりあげられたそうです。
カトパンが乗ったというライオンがいたので僕もまたがろうかと思いましたが、はずかしがりやさんなのでできませんでした。
それだけが心残りです。
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